菌床づくり
菌床づくりの工程は、大きく分けて6つ。
1.菌種えらび 2.材料の配合 3.袋詰め 4.殺菌 5.接種 6.培養 です。
1.菌種えらび
きくらげの菌種を選び、販売先から仕入れます。
緑工房が作っているのはあらげきくらげの菌種。常に、今は1番これがよい!というものを吟味して選んでいます。
2022年6月時点で使用している菌種は2種類。株式会社北研のあらげきくらげA1号、一般財団法人日本きのこセンターの菌種です。
2.材料の配合(培地製造)
栽培するきくらげに合わせて、きくらげが好むおが粉などの材料を用意してミキサーで混ぜ合わせ培地を作ります。
緑工房が使用しているのは、おが粉、ふすま、ぬか、石灰(カルシウム含有)。
海外産のものは一切使用しておらず全て国産の材料の出どころが分かるもののみを使っています。
3.袋詰め(充填)
混ぜ合わせて作った培地を専用の機械を用いて、栽培袋に詰めます。
次工程の殺菌のための一手間として、圧縮した菌床の中に一つ一つ丸い棒で穴を開けていきます。
培地の量は一般的に1000g〜3000g。緑工房は1300gです。
4.殺菌
高圧殺菌窯に袋詰めが完了した菌床を入れ、不要な細菌を除去します。
袋詰めの際にあけた丸い穴によって、中からも外からも熱がしっかりと伝わり、よりまんべんなく殺菌ができます。
殺菌完了まで5時間程度。きくらげ以外の菌が多く混ざると栽培が上手くいかなくなってしまうので、長時間かけて殺菌をし、きくらげ菌にとって最適な菌床にしていきます。
殺菌が完了したら、朝方まで冷やして15℃〜20℃になったら接種を開始します。
5.接種
殺菌した菌床に雑菌が混ざらないよう、接種専用のクリーンルームできくらげの菌種を培地に植えます。
専用の服に着替えて、接種が完了したものを培養していきます。
6.培養
きくらげの菌種を植えたら、湿度・温度管理を徹底した培養室に移動し、菌床の中にきくらげ菌がしっかりまわるまで培養をします。
培養にかかる期間は約2ヶ月。少しずつ菌が回っていくと黒い菌床がじわじわと白くなっていくので、全体が白くなるまで施設で管理をします。
培養が終わったら、栽培用のハウスに移動してきくらげの栽培と育成です。
育成環境づくり
きくらげの安定した育成には、以下3つを常に数値管理をしていかないといけません。
・温度
・湿度
・二酸化炭素濃度
特に重要なのは、湿度です。湿度は1年中80%を維持することが、肉厚のプリプリきくらげを作る最大のポイントです。
きくらげの育成
発生
培養完了後、袋に切れ目を入れるなどの発生作業を加えること+きくらげハウスの環境づくりを徹底することで、きくらげが発生します。
収穫
収穫に適した時期を迎えたら(またはきくらげの表面が波を打ったら)きくらげを収穫します。あらげきくらげの場合は、3回程度にわたり収穫が可能です。
加工・出荷
収穫したきくらげを人または機械で選別をし、乾燥きくらげにする場合は天日干しなどの作業を行なった後、大きさや色など取引先に合わせた規格で包装をして出荷します。
まとめ
以上、菌床で育てるきくらげの栽培について、菌床づくりから出荷までご紹介しました。
きくらげ生産量1位の鳥取県できくらげを栽培している生産者だからこそお伝えできる栽培アドバイスなど多数あるかと思います。
このブログだけでは分からないご不明な点やご不安なことがあれば、緑工房までお気軽にご相談ください!
株式会社緑工房の代表取締役。きくらげ栽培・販売に携わって10年目。
自社工場で菌床からつくる完全国産自家栽培のきくらげを、きのこ研究施設・日本きのこセンター 菌蕈研究所とタッグを組んで生産しています。
まだまだマイナーなきくらげを皆さんの生活に浸透させるため、商品開発も行なっています。
また、きくらげ栽培のプロとして、これからきくらげ栽培を始めたいと思っている方のご相談・ハウス見学もさせていただいています
きのこ栽培において被害をもたらす害菌の一つに納豆菌が含まれており、さらには熱に強いので、培地の殺菌が不十分だと生き残ってしまうのです。面白いですよね♪